やさしい竜の殺し方&イス&西洋骨董洋菓子店

*うーん・・・BLと言えなくもないけど・・・と言うカテゴリーで一緒にしました。

やさしい竜の殺し方

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西洋骨董洋菓子店


やさしい竜の殺し方

津守時生 ムービック 2003年3月28日
緑川光(ウランボルグ)、千葉進歩(アーカンジェル)
梁田清之(ドウマ)、増田ゆき(クローディア)、立木文彦(ガイス)
諏訪部順一(セファイド/ナレーション)、子安武人(ダンタリオン)、永島由子(アウロラ)

鈴木琢磨(ルヴァンガ)、小林沙苗(幼い頃のアーカンジェル)、斉藤恵理(イシュルンカ)
渡部猛(カニンガム)、上田陽司(前竜王)、渡辺浩司(傭兵)
平川大輔(傭兵)、川村拓央(役人)、Myu(給仕の娘)
閃光のアーカンジェル、迅雷のドウマは宮木王家から、にいがたとふくしまの飼い慣らしている幻獣を殺してくれと依頼を受ける。同じパーティを組むのは、他には真紅のウランボルグと、宮木王家の姫であるクローディア、そのお目付役のガイスだった。
アーカンジェルに初めて逢った瞬間、ウランボルグは「彼を守る」と契約をする。
世界を幻獣の住む世界である陰と、人間の住む陽の世界に分けた竜王が、当時の人間の王「聖王ナディア」に恋をし、残した誓約・・・。3度目の乱世において、その誓約が今・・・。
これは、原作をメール友から勧められまして。一冊買ったのは買ったのですが・・・何故か読めなかったんですよね。いきなり始まる世界観についていけなかったと言いますか。
なので、このドラマCDを聞く前にもかなり躊躇したんですよ。あの世界観をどう表現したんだろう?最後まで聴くことが出来るだろうか?って。
心配は無用でしたね。聴き始めたなら、一気に何度も聞いてしまうくらい楽しかったのです。
おそらくは、ナレーションで一気に片づけられているダンジョンだの、途中の道中だのは省いているとは思いますが、少しずつ明らかにされてくるキャラクターの過去やその真の姿。どうなるんだろう?どうなるんだろう?と本当にワクワクしながら聴きました。
これは、ボーイズラブのカテゴリに入れてはいますけど・・・「愛している」と言う台詞以外は、本当に普通のお話のドラマCDとして聴くことが出来る一品だと思います。

やさしい竜の殺し方

津守時生 ムービック MACYー2406 2005年6月24日
緑川光(ウランボルグ)、千葉進歩(アーカンジェル)
子安武人(ダンタリオン)、置鮎龍太郎(アルファード)、三宅健太(ラーサルグフル)
梁田清之(ドウマ)、増田ゆき(クローディア)、立木文彦(ガイス)
岩田安生(ノイゲバウアス)、甲斐田ゆき(アルキオーネ(ハーピー))
永野愛(メロペ(ハーピー))、石松千恵美(タイゲタ(ハーピー))
小林沙苗(ケラエノ(ハーピー))、松岡大介(兵士)
松山鷹志(兵士)、渡辺浩司(兵士)、最上嗣生(兵士)
諏訪部順一(ナレーション)
陰の世界である幻獣界と、陽の世界である人間界。その二つの世界の均衡が破られての危機は去った。
それから2年後。アーカンジェルは、ドウマやクローディア達と世界統一の戦いを繰り広げていた。しかし、敵の包囲網にアーカンジェルが危険にさらされた時。雷鳴が轟き、一頭の竜が現れた。
幻獣界で王争いを制したウランボルグが、愛しい人の危機に再度こちらの世界にやってきたのだった・・。
ドラマCD1が、原作の1巻と2巻でしたので。このドラマCDの2は、原作3巻を音にした作品となります。1でも書きましたが、あまり本に対して好き嫌いがない(手当たり次第とも言う)私が、友人に勧められた本なのに、読めずに中古ショップに売ってしまった後悔のやさドラ1巻。その作品をドラマCDにした・・として、別の友人にCDを貸してもらった時。聴くことが出来るだろうか?原作を読めなかった私にドラマCDが・・・と、かなりおそるおそる聴き始めたところ。もう、夢中になって聴いてしまいました。
そして、もう一度原作にチャレンジしてみたい!と思って探していた時。何故か、4巻が一冊だけ本屋にあっても。全巻揃って売っている所はなかったのです。途中の巻を一冊だけ買うのもなんだし・・注文して取り寄せるのもなぁ・・と思っていた矢先に、文庫未収録のお話も含めて、挿絵も変更になっての再文庫化となったわけです。確か、同じ角川は角川だったけど、スニーカーからビーンズに部門?変更になったんですよね。
その時に、やっと念願かなって(ビーンズで)やさしい竜の殺し方を全巻揃えて読みふけったわけです。

ドラマCDの2巻は、CDゲットした後にすぐに聴いてはいたのですが。文庫を読んでから、また聞き直していると。あぁ・・かなり削っているんだな・・としみじみ思いました。クソババア(byガイス)のマリアベラ様の出番は、アークとウルの会話で終わってしまいましたが。マリアベラが、ドウマにも婚約者を斡旋しようとした話や、ウルに秋波を送っている実際の場面はカットされていました。
また、これがないのは・・!と思ってしまったエピソードもあるのですが。これについては、後で述べます。

さて。やさしい竜の殺し方は、BLテイストはあるけど。実際には、キス止まりで。竜王にとっては、男や女と言った性別はあまり関係ないんですよね・・。誓約する相手を愛して、そしてその人の為なら死さえも厭わない。そんな誓約を交わす相手が、ウランボルグにとってはたまたま男のアーカンジェルだった・・と言う・・・。
だから、お話としては「BLじゃないよねぇ・・BLっぽい要素はあるけど、でも、テイストだけだし。もっと崇高な感じがするよね。人類愛?うーん・・」と毎回毎回ジャンル分けに悩むわけです。

でも。今回は、聴きながら「いくら、2年ぶりと言ったところで。こいつらは、のろけまくって!!」と言う感じでね。
その瞬間、「はいはい。下手に801シーンがあるBLドラマよりも濃い睦言言っているんだから。やっぱりBLCDにジャンル分けしてもOK!」と自分に断言してしまいました(^^;。自分で自分に断言してどうするよ(大笑)。

いや・・もう、そのくらいのろけまくっているんですよ。何しろ、「世界かアーカンジェルか、ふたつに一つを選ぶなら。ためらわずアーカンジェルを選ぶ」と言うくらいに、愛しているわけですよ。
「俺はアーカンジェルだけをたらせれば良い」に対する応えが、「その目的は、すでに2年前に達成しているじゃないか」・・って、もうこの二人はたらしたらされ・・って事になるわけですよね??もう、好きにして(大笑)。
そして、「アーカンジェルに触られると、泣きたくなるくらい気持ちが良い」「心臓が破裂しそうなほど、ドキドキしている」「俺だってそうだ。気が変になりそうなくらい嬉しい」「アーカンジェルは、アーカンジェルだと言うだけで、俺を最高に幸せにする」・・・これだけのセリフをちりばめていて。BLじゃない普通のドラマCDに入れる事は、もう出来ませんがな(大笑)。

そして。「同性同士の交尾はどうやるのか分からなかったから、長老に訊いた」ウランボルグを演じた緑川さんは、1のぶっきらぼうで無口な幻獣王のドラゴンが、アーカンジェルの要請に応えて(人間とは違って、ドラゴンの成長はゆっくりなので。アークと同じ速度で年を取ると言う約束をしているわけです。人間の2年はドラゴンの10年に相当するのに、人間の2年に合わせて、ちゃんと2歳年を取ったね・・って分かるくらいに成長していると言うお話なので)17歳くらいになって、口数の多くなった青年を熱演していました。別に、ウランボルグの口数が増えたわけではなく。きちんと相手に伝わるように言葉を尽くして語らないと、別の意味に取られては困る・・と言うだけで、お世辞を覚え。ドウマやクローディア達にも、「綺麗になった」とか「貫禄がついた」とちゃんと言えるようになっているんですもの。でも、口数が増えて。お上手も言えるようになったとは言え、ウルの一番はアークと言うのは、変わってはいませんでしたが。でも・・あんな赤面しそうなセリフの応酬は、緑川さんの美声でなければ、耐えられませんわ(^-^)。だって、緑川さんなら。竜の若者は真剣で、言っているって分かる上に。もっと聴かせて!って思ってしまうんですもの。
そんな緑川さん演じるウルに愛されてしまった、美貌の聖騎士のアーカンジェルを千葉さんが演じていらっしゃいました。挿絵などの雰囲気からすると、もう少し柔らかくて、細いイメージがアーカンジェルにはあるのですが(私個人の受け取るイメージが)。拳法も使えるし、魔法も使える。おまけに、剣の腕も確かな騎士様なのですから、見かけによらずに強情でタフな所はあるんでしょうね。
細身と言うイメージは浮かびませんが(゜゜)\バキッ☆、ウルを守ろうとして、ラーサルグフルに四相神の呪文を使ったシーンの「一斬!」「二刺!」「三射」「四投」「五打」「六砕!!」と次々に衝撃波のような物を放つシーンの迫力と硬質な声の強さ、雄々しさは「あぁ・・なるほど」と思います。千葉さんのアークの雄々しさが、光ったシーンですね(^-^)。
そして、ウルの先祖の一人で。同じ黒髪のアルファードを演じたのは、置鮎さん。原作では、父性愛に満ちた30歳くらいの雷牙王と言う事になっていますが。原作知らなかったら、とても丁寧な言葉遣いの慈愛に満ちた王様・・と言うイメージがありました。千葉さんのご先祖になる、子安さん演じるダンタリオンさんは。ウルと戦いたくない・・と言って登場するシーンが好きでした。特に「おだまり!!」とアークを一喝するシーン。
ちょうどね、アンジェリークを聴いた後だったので。妙に受けてしまいました(すみません・・・個人的な理由で受けていて(^^;)。
ダンタリオンに使役され、ペット?!となった「変態」竜のラーサルグフルには、三宅さんです。三宅さんは、本当に申し訳ない・・。子供の領分とムーンリットシリーズの印象が強いものですから。変態と言うよりも、寡黙な?男らしい役の印象があったのですが、ここで初?の食べちゃいたいくらい愛しているウル君をなぶろうとする変態・悪役を演じていらっしゃいました。重低音が魅力の三宅さんですが、あぁ・・悪役が似合うなぁ・・と妙に感動してしまいました。今まで、そう言えば良い役しか聴いていないような・・(^^;。多分・・おそらく・・m(_ _)m。
でも、最後の方にノイゲバウアスと言う巨大な亀が出現します。ウランボルグの先祖であるアルファード(雷牙王)と、その誓約者であるカール君から託された物を頭の上の森に隠し持っている・・と言う島のように巨大な生物です。確か、原作ではウランボルグとアーカンジェルが立ち去ったすぐ後に、ダンタリオンとラーサルグフルがやってきて。ノイゲバウアスは殺されてしまった・・・と思っていましたが。そのシーンがなかったのは、辛かったですね。
ダンタリオンの残酷さ、その残酷さに目を背けるラーサルグフル。ウルの千切れた腕から、血を舐めて「お前の血は甘い!」と言ったラース君でさえ、ダンタリオンには敵わない・・と言う意味でも、原作で好きだったシーンだったのに・・。何故、あのシーンを丸ごと削ってしまったんでしょうねぇ・・。

お若い方は、ご存じないアニメで申し訳ないのですが。手塚治虫さんの漫画を原作にして、作られたアニメで「海のトリトン」があります。
解説はともあれ、その最初の方に巨大なウミガメが出てきまして。トリトンの両親から預かった形見のホラ貝を甲羅の中に持っている・・と言う亀でした。その名がメドン。設定がね、島のように巨大で。しかも、彼らに渡す物を持っている・・と言うので、私の頭の中の映像はノイゲバウアスさんは、イコールメドン状態(大笑)。
削られてしまったダンタリオン達のシーンでは、思いっきり「メードーーーーン!」違った・・ノイゲバウアスウゥーーーーーーと言っていたのに・・・。あうう・・寂しい・・。

やさしい竜の殺し方

津守時生 ムービック MACYー2407 2005年7月29日
千葉進歩(アーカンジェル)
諏訪部順一(セファイド/ナレーション)、置鮎龍太郎(アルファード)
田中敦子(フェンリエッタ)、園江治(ボッシュ)、松山鷹志(フィンチ)
島宗りつこ(モニカ)、上田陽司(ブルーノ)
最上嗣生(兵士)、渡辺浩司(兵士)、松岡大介(聖騎士)
今までに何度となく繰り返されてきた、ドラゴンと誓約者の悲劇。しかし、雷牙王・アルファードの誓約者であった光王カーライルが、ドラゴンを失った後に見つけたとされる失せし秘宝こそが、その悲劇に終止符を打つことが出来る呪文であった。
無事に、光王の墓所から秘宝を入手したアーカンジェル達は、本来の目的地であったキョウトに赴くが・・・。
最初に、3巻のデータベースをタイプしていた時。あれ?緑川さんは?緑川さんは主役二人のうちの一人じゃない・・どうして、名前がないの??と、ブックレットをひっくり返してしまいました(別に、ひっくり返しても名前が載っているわけじゃないんですけどね)。
データベースを入力する時には、結構お話を知らないままの事が多いです。聴きながら入力しても、タイプ中はお話聴いてない状態の時が多いので、無駄なんですよね(゜゜)\バキッ☆。
入力が終わって、さてと!と聴いて。あぁ・・2巻からの続きで、置鮎さんになっていたんだっけ。で?ここで魔法を解除してしまうと、大変な事になるからって、そのまま別のご先祖様である諏訪部さんになっちゃったから、出番がないままだったんだ・・と落ち着きました。
何しろ、ビーンズ文庫になった小説を読んだのは、ドラマCDが完結してしまってからですからね・・。仕方ないじゃない。内容知らなかったんですもの。

と言う、私の言い訳はおいといて(゜゜)\バキッ☆。ドラマCDはドラマCDなりに、健闘してますね!と言うのがこの3巻に対する感想になってしまいます。
と言うのも、一番最初の感想を。先の展開も知らないでドラマCDを単体で聴いた時のそのままの感想を書こうと思ってはいますが。ドラマCDを聴いた後に、何回も原作読んでしまったからねぇ・・。今更、原作をまるきり知らない私の感想ってのは、書けないわけで。
ですから、おそらくは一般的なルート(゜゜)\バキッ☆である、原作が好き→ドラマCDも聴いてみたい!と思った方と同じ感想になってしまいますm(_ _)m。

2巻は、ビーンズ文庫の3巻をドラマCDにしていました。このドラマCDの3巻は、ビーンズ文庫の4巻が原作になります(ドラマCDの1巻が、2冊分でしたからね)。
二つの世界を守るため、仕方ないとは言え。自らを犠牲にしてバランスを保つしかない幻獣の王・ドラゴン。ドラゴンが誓約する者は、愛する者に先立たれてしまう・・・と言う悲劇に直面するわけです。しかも、自らの手で愛するドラゴンを殺す・・・か、愛する者を傷つけないように誓約した血の呪縛が、ドラゴンの全身を引き裂く(って事は、傷つけられるかもしれない位置に居た誓約者は、それを目の当たりにしてしまうわけですよね)と言う悲劇のおまけ付き。
ドラゴンの方も、人間は嫌いだけど。愛する誓約者が居る世界だから。愛する者を守るためには致し方ない・・残して行く者のつらさと言うのがあるわけです。

死んでしまったドラゴンの方は、後は知らないわけですが。残された方は、そりゃたまったものじゃないですわな(^^;。
結局、その愛する者を失ったつらさから、アルファードの誓約者のカーライル王は、秘宝を見つける事に一生懸命になり。その為に数多くの部下や人々の生命を奪う結果になってしまった。唯一求めた宝である呪文以外は、お金にして分け与えたにしても、吸血王と後世の人々に言われ。ドラゴンを失った後には、笑みを浮かべることすらなかった。
3巻では出番がなかったダンタリオンも、愛するドラゴンを失った為に世界を滅ぼす事を考えてしまっているし・・。

そんな先代達の気持ちが分かるから、千葉さん演じるアーカンジェルは、一緒に行動しているアルファードに対して、屈託を抱えている。その屈託を抱えたシーンは、ドラマCD2巻の最後の方に出てきていましたが、2巻では語られずにこの3巻に持ち越されていました。
しかし・・熱に浮かされていたとは言え、言ってしまっちゃうわけね。
・・・まぁ、言ってくれなかったら。聴いている方は、優しいアルファードさんに、何をこの子は拗ねているんでしょうね・・って思っていたはずですが。

つまりは。誓約に縛られていたアルファードは、死ぬしかなかった。それは仕方ない。
と言うよりも、人間界の贄になってくれた彼に感謝こそすれ、死んでしまった彼に対して「どうして、あの時死んだ!」と責める事は出来ない(この辺りが、既に死んだ人(竜)なのに憑依魔法で甦っているから、ややこしくなりますね)。
でも、一緒に生きていけないのなら、一緒に死んでしまいたかった!と言うのが、誓約者の気持ちでしょう。
だからこそ、カールの事をあれこれ言うアルファードに対しては、「光王を残して死んだくせに」。
そして、そのアルファード(セファイド)の中に居るウルに対して「私を置き去りにして、死んでしまおうとしたくせに」が、アーカンジェルの抱えていた屈託だったわけで。そこまで深いドラゴンと誓約者の愛なんですよねぇ・・。
それがまた、絶世の美貌を誇る騎士様のアーカンジェルと、日々成長しているウルのコンビだから。BLに入れてしまっちゃうわけで(゜゜)\バキッ☆。

アーカンジェルが、彼の屈託の原因であった気持ちを吐露してしまい。アルファードに見せたくなかった、カーライルの墓碑銘が分かったシーンのアルファードのやりとりと、二人の苦悩。この二つはドラマCDの中でも、聴き応えのあるシーンとなっています。
置鮎さんは、やっぱり「父性愛」にはちょっと聞こえなかったけど。包み込むような優しいお声で、暖かい王様だったんだろうな・・と思っていました。そんな彼が、光王の墓碑銘を見て血の涙を流すシーンの慟哭は、迫力がありました。
光王の墓所に行くシーンで、中に居るウルに(アーカンジェルの美しさを褒めて、捕らえられたアークを見たヒロシマの王子の反応が分かると言ったために)「変態!」と言われてしまい、たしなめるシーンが、聴きたかったですね。諏訪部さん(セファイド)の方は、中に居るウルとやりとり?しているらしい一人芝居を聴くことが出来たのになぁ・・。あぁあ、勿体ない(゜゜)\バキッ☆。

そして。アルファードが狂乱してしまったがために、現れたセファイドさん。
1巻以来のご登場!!となるわけですが。まぁ・・このセファイドさんってば、軽くて明るいけど。でも、世界を二つに分けた原因?!のキングオブドラゴンでもあるんですよね。
彼のシーンには、アルファードの時にあった悲壮感はなく。場を和ませて、なおかつ明るく盛り上げてくれるシーンが多かったですね(^-^)。一番大笑いしたのが、憑依魔法が解けてしまう前、14トラックのアーカンジェルとの別れのシーン。
「感謝の気持ちは、態度で濃厚に現して」と、アーカンジェルとのキスにこだわった彼が「初志貫徹!!三つ子の煩悩、百まで!」と握り拳を作って、堂々と宣言するところですね。原作では、初志貫徹!しかなかったので。シナリオで付け足されたのか、アドリブだったのか?は、はっきりしませんが。受けましたねぇ・・。いや、本当に笑いました。
そのキスシーンでの千葉さんの内心の叫び「このお下劣王!エロドラゴンっ!!万年発情期竜!!」も、大受けでした。アーク・・嫌がっていないじゃない(゜゜)\バキッ☆。
千葉さんでは、他にはウルに戻れないセファイドに、俺の事をなんだと思っている?!と問われての「魅力的で世話焼きで、頼もしい反面、好色で節操なしで、品位に関して問題のあるご先祖様」の一気セリフの冷たさが、好きです。その一方で、生き方を無理して変えなくても良いとセファイドに言われて「ありがとうございます」と礼を述べるシーンの華やかなまでのにこやかさは、罪作りかも・・と思わせるほど、声に艶があって惚れましたわ(^-^)。
諏訪部さんの原作では「にゃは!」(が「にひ」に聞こえる時もあるけど(゜゜)\バキッ☆)と言う語尾やら、別れを惜しむシーンでの「チビのもんだしぃー」と語尾を伸ばしての甘え声と。その一方で、子孫を誓約に縛ってしまった苦悩を言葉にするシーンは、続けてのシーンだっただけに。その見事な切り替えに唸ってしまいました。

今回のお話のヒットポイントは、原作でもそうでしたが。アーカンジェルの騎士団時代の親友であるフェンリエッタでしょう。
高貴な生まれであるにもかかわらず、自分よりも美しい?!アーカンジェルを等身大の着せ替え人形として遊び(メークまでする念入りさ)、それでいて、彼が持ち込んだとんでもない話に即座に乗るし。「なにがあろうと、私は君の味方だ」と言い切れる剛胆さまで持ち合わせているんですもの。
いやぁ・・アークったら、良いお友達を持ったわねぇ。ドウマと言い、君は本当に友人に恵まれていますよね(^-^)。
そのフェンリエッタ役の田中敦子さんは、もう見事!!としか言いようがないですね。フェンの挿絵を見ながら、田中さんのお声が浮かぶほどですよ。こういうBL関連?の作品で、女性を褒めるのって寺田はるひさんや岩男潤子さん以来じゃないかな??

原作が良いと、当然ドラマCDも良いお話になるのはなるのですが。ただ、やっぱり原作を知っていると。あらら・・と思うシーンは結構ありますね。
光王の墓所に行く時に、ボッシュさんを脅していた馬鹿王子!を雷に紛れて殺してしまった雷牙王のシーンがなかった事。
そして、教皇の謁見でフィンチ大神官が亡くなったいきさつ・・・執拗なまでにセファイドが名前を連呼していた理由などは、このシーンには直接はなく(前後に、フィンチをセファが暗殺したと語られてはいますし、アークとアルファードの会話で「名前を直接呼ぶのはどうの・・」と言う会話があったのですが、それってCDではシーンが離れて前の方なものですから)。最初に聴いた時には、暗殺になるのは何故だろう?って、私もちょっと考えましたから。わかりにくいかなぁ・・と思って。
飛ばしているのはかまわないのですが、光王の墓所に行く時に雷牙王が唱えた呪文。あぁ、置鮎さんの流麗な声で聴きたかったなぁ・・・。

やさしい竜の殺し方

津守時生 ムービック MACYー2408 2005年8月26日
緑川光(ウランボルグ)、千葉進歩(アーカンジェル)
子安武人(ダンタリオン)、三宅健太(ラーサングフル)
諏訪部順一(セファイド/ナレーション)、田中敦子(フェンリエッタ)
永島由子(アウロラ)、島香裕(教皇)、鳥海浩輔(リカルド)
塾一久(魔術師)、松岡大介(魔術師)、斎藤瑞樹(神官)
森夏姫(子供)、沢口千恵(子供)、千々和竜策(聖騎士)
ダンタリオンの策略で、ダメージを受けたキョウト。オオサカに捕らえられた人質を救うため、それぞれの竜の一騎打ちで決着を付ける事になる。そして、アーカンジェルは祖父であるダンタリオンとの決着をつけようとするのだった。
原作を薦められた時、どうしても読みづらく。断念した苦い想い出がある作品ですが。
ドラマCDがかなりすんなりと面白く聴けた事から、原作がビーンズ文庫になった時に再挑戦。今では、津守さんが好きな作家の一人になってしまうくらいにお気に入りです。
ですから、聴いて。感想を書く前にもう一度原作を読み直し。それからまた、ドラマCDを聴いておりました。

今回のメインは、お話としては。ウランボルグとラーサルグフルの一騎打ち。そして、ドラゴンマスター(゜゜)\バキッ☆いえ誓約者としてのアーカンジェルとダンタリオンの決着となるのでしょうが。
個人的には、アークの友人で女性でもあるフェンとウル坊のやりとりが一番でした。特に、「年増」とフェンに対しての暴言を吐くウル(これは、セファイドさんがアークとフェンがお似合いであり。生物と言うのは、より多くの子孫を残す事が大事・・などとウルを焚きつけてしまったがために、ウルがフェンに対して嫉妬をしているからです)
それに対抗して「年上の綺麗なお姉様」と呼べと強制し、なおかつ自分はウルの事を「スネ坊」と呼んでいるフェン。
このやりとり!田中さんと緑川さんで聴くことが出来る楽しみ!!これに尽きましたね(^-^)。
また、ウルが心の底から思っていない事と、もっと言いやすい言葉があるために「年上の綺麗なお姉様」を言う時には、必ずつっかえてどもってしまうのですから、これはもう音ならではのドラマCDになったら・・・他のあれこれも楽しみではありましたが、やっぱり一番はフェンとアーク、ウルの3人のシーンの会話でしょう(大笑)。
本筋とは違う所で楽しみにしてました(^^)v。

まぁ・・・もちろん。1巻からお久しぶりのアウロラさんと、問題のダンタリオンの再会シーンも聴き所の一つだとは思っていますが。
やっぱりねぇ・・・やさしい竜では、女性よりも美しいアーカンジェルよりも。オヤジ化しているフェンの方が読んでいて楽しかったもの。ウルに言われて、真っ赤になるアークよりも。笑って剛胆にやり過ごし、なおかつ逆襲に転じるフェン。
同じ女性として、フェンが気になりますよねぇ(^-^)。と言うか、やさしい竜の登場人物の中でマイベストキャラなんですもの。贔屓の引き倒しと言われようと、アークよりもフェンが好き(゜゜)\バキッ☆

緑川さんは、そのつっかえつつの「と、年上の・・・」の台詞を何度も披露して下さいました。一番最後の「ありがとうっ!年上の綺麗で素敵なお姉様!」を輝くような笑顔で言った台詞との比較で、もう・・もう・・・最高。
嘘はつけない・・・と言うドラゴンらしく、本当に素敵なつっかえ方でした。
緑川さんでは、もう一カ所。ラーサルグフルとの戦いで一時的に大人の身体をもって戦うシーンがあるのですが。そのシーンは声だけで、魔法で大人になったウルを表現していらして。
絵として見る事は出来なくても、胸板の厚い背の高いウル・・・。大人になったらこんな感じなんだろうな・・と言う状態を声だけで表していらっしゃいました。声一つで、本当に見事ですよねぇ。
その妙技に、本当にうっとりです。

子安さんのダンタリオンは、今回も軽く言いつつ冷酷な魔道王を熱演され。そのペットであるラーサルグフルの三宅さんは、今回は2巻で思った悪役!!はちょっと影を潜めていたかな?
ちょっとお馬鹿で、ダンタリオンの言葉の裏に秘めた気持ちに気が付かない。そして、イヤガラセ大王(大笑)。今回は、悪役と言うよりもイヤガラセ大王の方が印象に強いかも・・・。
お馬鹿なラースと書きましたが、原作では。ラースはダンタリオンにいらない事を言ってしまった・・と自分の身勝手さと救いようのなさを自分で気が付いて後悔するシーンがあるのですが。
そこがかなり弱くなっていたように思います。

また、原作のファンであれば聴きたかっただろう「年増の綺麗なお姉様」とついうっかり、ウルが言ってしまった台詞も入っていなくて・・あらら?と言う感じでした。
あと・・・・救いようのない・・どうしようもないオウサカの王子のリカルド役が鳥海さんだったのですが。うーん・・・出番は少ないし、ちょっと勿体ないかなぁ?単なるヒステリーなシーンしか入っていなかったしねぇ・・。これが本当の「役不足」ではないでしょうか??

しかし、原作ではト書きシーンだけだったおみやげ物を買いに出たウルが、人形使いの芸を眺めている時に。全てが中級でストップしている精霊魔法を組み合わせて使う事を思いつくシーン。
ここには、人形使いが居ると分かる台詞や、ウルが風車を見るシーンが入っていまして。
原作ではあまりにあっさりと描かれていて、スルーしてしまいそうだったシーンが、きちんと入っていて。しかも、色彩鮮やかに甦った事に感動しておりました。
あぁ・・なるほど。音だけになったから・・音だけのドラマで、そのシーンの重要性を改めて示す。またしても、目から鱗のシーンでございました。

やさしい竜の殺し方 外伝

津守時生 ムービック MACYー2409 2007年7月27日
緑川光(ウランボルグ)、千葉進歩(アーカンジェル)
田中敦子(フェンリエッタ)、増田ゆき(クローディア)
楠大典(アルマゲスト)、井上和彦(メシエ)
麦人(フラムスチード)、たてかべ和也(マゼラン)
吉田真弓(スピカ)、折笠富美子(マリア)

中村悠一(盗賊)、興津和幸(盗賊)、北沢力(盗賊)
御園行洋(聖騎士)、酒井敬幸(聖騎士)
金田アキ(若竜)、久嶋志帆(若竜)、武田華(若竜)

やさしい竜の殺し方 外伝2

津守時生 ムービック MACYー2410 2009年9月18日
諏訪部順一(セファイド)、大川透(アルファード)

増田ゆき(ナディア)、水落幸子(ロレンシア)

金田朋子(セファイド(子供))、斎賀みつき(アルファード(子供))
野島裕史(バンアレン)、三上枝織(ハーピー)
林和良(指揮官)、遠藤大輔(副官)

invisible signーイスー

内田一菜 HOBiRECORDS 2005年7月29日
1.回想    
2.嵐のあと     
3.これからの僕ら
4.新しい生活     
5.見えない何か
6.逃走    
7.戸惑いの夜1
8.戸惑いの夜2
9.戸惑いの夜3    
10.彼が目覚める
11.憑依    
12.暴走     
13.ずっとふたりで
14.終わらないミステリー
関智一(相澤舜(シュン))、石田彰(三宅真琴)
鳥海浩輔(和久井遼)、雪野五月(紀村凛)
中井和哉(松岡聡)、荻原秀樹(林原健介)
遼が、家から出ることとなり。舜と凛、そして遼には見えない真琴と一緒に部屋探しをする事となるが。格安なアパートには、何かと問題があって・・。
ゲーム第一弾「invisible signーイスー」と「invisible signーイスー眠れる森」の間にあたるドラマCD。
先ずは、人物関係からすっきりと整理して聴き始めましょう。私のように、ドラマCDを先に聴こうとしてはいけませんよ(^-^)。
いや、聴き始めた時に私がかなり「えええぇえ!?」状態に陥ってしまい。そこからゲームを買って、確認してから途中で放り出したCDを聴くことになったからです。

ゲームをする時間はないわ!とおっしゃる方のために、ちょっと解説をしますと。
主人公・相澤舜は幽霊を見ることが出来る体質。そのために恐怖体験をいろいろとしてきた。彼の友人は三宅真琴。
しかし、その三宅真琴こそが舜が探し求める1歳の時に誘拐されて行方不明の兄。しかも、出会った時には既に死んでおり。舜以外の人間には見えていない。その上に、舜に意地悪をしている会社社長令息である和久井遼が養子に出される前の家である三宅の家で、真琴は遼の兄として5年間過ごしていた・・と。だから、真琴は舜の実の兄であり、誘拐犯の息子である遼の兄であった時代も持っている・・・と言う事になります。
相手に触れることで、相手の記憶を見ることが出来る能力の持ち主である凛は、同い年で別の学校の女子。遼と仲良しさんで、殺人事件を解決した松岡刑事の妹になると・・。この兄妹も名字が違うので、キャスト表などを見るだけでは分かりませんが。両親の離婚と言う理由みたいですね(^^;。松岡刑事もちょっとした霊を見る力はあるけど、その部下の林原刑事は霊媒体質で、真琴に憑依されてしまう存在。
そして、舜は恐怖体験故に多重人格者。第2人格が、舜は苦手な霊を浄化する力を持っているワイルドな魅力の持ち主。真琴を敵視し浄化してやる!と思っているシュン。シュンは、遼と(舜よりも先に)言うに言えない(゜゜)\バキッ☆関係をした友人関係・・っと。
以上が、今回ドラマCDに登場した人物の大まか?な説明になります。

どうです?かなり大雑把なところでこんな所になります。
名字で兄弟だとか親子を考えてしまうと、駄目なのね(^^;。私が、ドラマCDを「ま、いっか」と聞き始めた時に「えええ??」となったのは、それらの人物関係がごちゃごちゃしてしまったからです。
そこに今回のドラマCDでは登場しなかった(ゲームには登場した)成宮さんや陣内さんなどのお名前がいろいろ出てくるのでややこしいったらありゃしません。

さて。そんなドラマCD一番の聴き所は、なんと言っても関智一さんの一人二役と言っても過言ではない演じ分けですね。智一さんにしては、ちょっと高音で弱々しい(゜゜)\バキッ☆の舜と、ワイルドな魅力全開!のシュン。同じ身体を使うのだから、多重人格も同じ声になっちゃうのだけど。声だけで、今どちらになっているのかが分かる!これですよね。
そして、真琴が憑依している状態の林原刑事役の荻原さん。石田さんが演じている真琴のような感じで演じて下さい・・と言われて、収録前夜に眠れなかったほど緊張されたそうです。そりゃそうですよねぇ。憧れの先輩の前で、その先輩のマネをしなくちゃいけない・・。それが好評だったものだから、続編のゲームでもそういうシーンが増えたとか・・(^^;。いや、増やしたくなる理由が分かる!!ほどです。
3つのペンダント。真琴が舜に渡した「ギューフ」(育ての母から貰ったもの)、遼の「ダエグ」(母親から貰ったもの)、そして真琴の遺体の側にあった「イス」。それぞれに意味があり、ドラマCDの中では完璧には明かされなかった謎が解明されるのは、続編のゲーム「眠れる森」の最後になります。
二つのゲームの架け橋として、楽しむ・・それがこのドラマCDの楽しみ方かな?と今回痛感しました。
ところで。このゲームと言うか、ドラマCDは。BLになりきっていないBLと思っていますが。皆さんなら、どちらのカテゴリに入れようと思います??

イス通販特典
眠れぬ夜のための3つの話・第一夜

bunny hole studio lapin 2005年8月? 夏コミ予約特典
*夏コミ特典と言うことですが。lapinの通販利用(期間限定)でも購入出来ました。
「手を振る誰か」(語り/相澤舜)
「背後の友達」(語り/柏木優斗)
「靴」(語り/三宅真琴)
関智一(相澤舜)、福山潤(柏木優斗)、石田彰(三宅真琴)

鳥海浩輔(和久井遼)、田坂秀樹(柚原七生)、相澤正輝(成宮英明)
夏休みの一夜。舜の家で、百物語をやっている。
旧校舎の手を振る人影。そして、渡り廊下で消えた友人の話など。
幽霊を見る事で、恐怖体験をしてきた舜にとっては、皆で語り合っていると怖かった体験も笑い話になっていく過程が、楽しかったのだ・・・。
こういう怖い系統の話って、駄目なんですよぉ・・。本当に苦手で・・。
イス自体が、そういう幽霊さんを扱っている話だから。ありえる・・とは思っていましたが。話し終えた後に蝋燭・・・消さないで下さいm(_ _)m。怖かったです。
一番怖かったのは、舜の語る旧校舎の人影でしたね。時間が決まっているってのが。
体育の先生も、その場でちゃんと説明して下さいよ・・・「放っといてやれ。もうすぐ居なくなるから」じゃないって・・。
でも、間違えますかね?手を振る動作と窓ガラスを叩く動作って・・似てます?遠目だったら分からない??

二話目は、聞いた後からじわじわと来る感じでしたね。でも・・・冷静に考えると。一緒に日直をやっていたあなたは、その事実に気が付かなかったわけ?日直って一日やるよね?他の同級生に指摘されるまで気が付かないって、それは・・どうよ(大笑)。

第三話は、石田さんが語りをする・・って事で。今まで怪談もので石田さんが語る作品は、怖い作品が多かったので。と言うよりも、石田さんのムード作りがお上手なもので、足音が聞こえてくる気がしたり、草木のざわめきが感じられたりするんですよ。だから、もう無茶苦茶怯えていたのですが。このお話は、ちょっと可愛い感じで(だって、実害ってあまりなさそうな感じだし)ホッとしました(^^;。

鳥海さんが演じた遼くんに、自分は一番近いんですよね>恐がりさんって辺りが。遼君がびびっていると、ドラマの中では皆に笑われたりしていますが。きっとね、私も百物語に挑戦したら、皆に笑われていると思います。しかし・・・私の場合は、最初からきっと百物語なんて挑戦しないだろうし(゜゜)\バキッ☆。

イス通販特典
眠れぬ夜のための3つの話
第二夜

bunny hole studio lapin 2005年11月25日 ゲーム「眠れる森」
購入特典
「隣室の子供の泣き声」(語り/松岡聡)
「23時の射場」(語り/鞠谷佑一郎)
「黒い傘」(語り/林原健介)
中井和哉(松岡聡)、子安武人(鞠谷佑一郎)、荻原秀樹(林原健介)

鳥海浩輔(和久井遼)、関智一(相澤舜)、石田彰(三宅真琴)

雪野五月(紀村凛/子供)、斎賀みつき(陣内あゆり/刑事B)
鶴岡聡(刑事A)、福山潤(刑事C)、相沢正輝(霊)
張り込みの時間つぶしに、怪談話を始めた松岡・鞠谷・林原。
それぞれに、自分が体験した霊の話をするのだったが・・・・。
今回は、割にまともと言いますか。3話目を除けば、ちゃんと幽霊話(怪談)になっている話が入っていたなぁ・・と言う感じです。
松岡が聞いた子供の泣き声。そして、射場で23時になると聞こえてくる銃声。語り手のうまさも加わって、ヘッドフォンで聴くのが怖かったのなんの・・・しくしく・・・。まぁ、人に害をなす幽霊ではないのですが・・。

生きている人間が一番怖い!と言うのが自説ではありますが、でも・・やっぱり、夏の幽霊話は気持ち悪いと言うか、ぞっとしません。
ホラー映画もスプラッタも、お金を出してまで見に行こうとは思いませんし(唯一、OMENと催眠だけかな?誘われて映画館に見に行った怖いお話は・・。TVでも、キャストに釣られて「バーニング」「キャリー」くらいです)見に行った物や見た映画を数え上げる事が出来るくらいに、苦手なのです。「催眠」の時などは、私の声に周囲がびっくりして「あなた見ている方が面白かった」と訳の分からない楽しみ方をされてしまったくらいです。
でも、何故か小説は怖くないので、それなりに読みます(「死国」とかS.キングものとか平気で読みますしねぇ。綾辻さんのスプラッタも「うげっ」とか言いながらも、とりあえずは読みましたし)。
それらから総合すると、私は「ほら、怖いよ怖いよ」と音楽などでがーっと盛り上げて来て、ドーンと来るとか。ホッと安心した所にうわっ!と来られると駄目みたいで・・。
そういう意味では、ドラマCDも音楽で盛り上げられるので、ちょっと苦手(^^;。ただ、ある程度心の準備は出来ますし。映像で迫ってこない分、ましかな?

中井さんと子安さんの語り口が、また淡々としていて怪談に似合っていましたね(褒め言葉です)。
特に、子安さんが語った鞠谷の話は、「これは、絶対に『その男は』とか言っているけど、鞠谷自身の話よね」と思わせてくれるので。語りが三人称の「男は」が「私は」になった瞬間、「ほら来たぁーーー」とニンマリしてしまったほどです。

ただ、3つ目の話は。後日談まで聞くとじわじわ来ますけど。聞いている途中でイライラしてしまうんですよね。
シナリオのせいなのか、林原が真面目に怪談するつもりがないのか?もう本当に途中で早送りしてしまおうか?と何度思ったことか・・。こいつは、あまり話をし慣れていないだろ!!みたいなイライラが募るんですよ。こんな話下手な奴に、怪談なんかさせるな!えーい、まどろっこしい!これでオチが・・・だったら許さないぞぉ!って思っていたら、その通りのオチになってしまってねぇ(大笑)。
いやもう、その結末に白い紙が!って時には、真剣に林原に対してムカムカしてしまいましたねぇ。この効果を狙ってわざとそういう話し方をされていたのでしょう荻原さんも、お疲れ様でした。

「イスー眠れる森ー」のキャスト勢揃い!と言う感じでして。あぁ・・このおまけ?のようなCDは、ゲームの収録が終わった時にでも録音したのかな?ってふと思ったのですが。ゲームってお一人ずつ録音しているから、キャストが勢揃いした録音はないわけで・・・・。
とすると、この録音は一体何時??それが一番の謎となりました(゜゜)\バキッ☆。全員が別々に録音したものだったのかな??

西洋骨董洋菓子店 1

よしながふみ 新書館 2002年12月25日 SWCDー005
山寺宏一(橘圭一郎)、郷田ほづみ(小野裕介)
関智一(神田エイジ)、井上和彦(小早川千影)
若本規夫(芥川忠宏)、田中秀幸(マスター)、立木文彦(ヤッちゃん)
沢田敏子(芥川佐和子)、山岸功(アツシ)、佐々木瑶子(橘紘子)
一流商社マンだった橘圭一郎は、ある朝両親に宣言する。「会社を辞めて、ケーキ店を始める」と。
父親が紹介してくれた最高のパティシエを見て圭一郎は驚いた。最高のパティシエ・・・それは、彼が高校を卒業する時に告白してきた同級生のホモ・小野だったからだ。
ドラマにもなった「西洋骨董洋菓子店」を原作に忠実に音の世界で表現したCD第一弾は、4人が店に集まるまで。
付録のミニCDは、クリスマスの新作ケーキのネタに行き詰まった小野に、エイジが「おかず」話を聞かせるストーリー。
実は。ドラマ化された時に「あのBLをどうドラマにするのか??」とぱふなどで取り上げてありまして。その記事を読んで興味を持ち、原作を買って読みました。ドラマはドラマとして面白かったのですが(問題は無性に甘い物が食べたくなる症候群に陥る事でした)ドラマになっていない部分が楽しかった私としては、このドラマCD化は「もう、待ってました」で迷わずに通販予約しましたねぇ(大笑)。そのくらい、原作に忠実に・・・と言う部分に惹かれたのです。あの雨の中で小野と千影がくるくる踊るシーンがあるなんて(大笑)。

買って大満足。立て板に水でケーキの説明をする山寺さんの橘は、まさにはまり役。「いや、場合によっては笑います」と真顔で言って許される橘は、山寺さん以外思いつきません。面接に来たエイジに「魔性のホモ、恐ろしい伝説のホモ。好みの男はオールゲッチュ」とまくしたてるシーンは笑いがこみあげてきました。
魔性のホモの郷田さん。胸をときめかせたり、策略を仕掛けたり(大笑)したかと思うと、ケーキに対しての情熱は真剣である事が分かるシーンなど、もう最高。「ビジネスならビジネスとして、きちんと僕のケーキを売ってくれないと困る」と接客のまずさを橘に説教するシーンと、千影が自分の好みのタイプである事を知った時の「ひやぁ、やめて」の落差が最高でした。
元ヤンキーのエイジ役の関智一さんは、勢いがあって口は悪いけれども根っこの部分は優しい青年がぴったりで・・・。「おケーキ様様と呼ぶしかない」「おやかた!!」と言うエイジ君を聴く事が出来ようとは・・・。
千影に井上さんはちょっと声が良すぎ・・・と思いましたが、この3人のキャストと並んだ時に、やはり千影は井上さんでないとバランスが取れなかったんだろうなぁ・・と思って納得するのです。サングラスを外しての「やはり、駄目でしょうね」などと言うシーンや、何も無かったと小野に言われて泣いたシーンなどは、井上さんならでは・・・です。

他のキャストも、お名前を見た瞬間に納得してしまったほど、凄すぎるキャストでした。もう、聴かなくても声が頭に響いてしまうくらい。
西洋骨董洋菓子店ファン(でありアニメや声優も好きな)の友人と一番受けたのが、実はヤッちゃんの立木さん。「立木さんだって。いやぁ・・・これは凄い」それ以外の言葉なしに、会話が成立してしまったほどなのです。「ねぇ、ゆうちゃん」と誘うシーンは、出番は少ないのにもうノックアウトを何回も食らいましたねぇ。アンジェリークやエヴァなどでは、あんなに渋い役を演じていらっしゃるのに、「ねぇ、ゆうちゃーあん」・・・・・・。素晴らしすぎました。立木さんでは、店に押しかけてきた後で「話はちゃんとつけろ」と言われ「ハイ」と返事をするシーンも捨てがたい。
後、絶品だったのが圭一郎の昔の事件を担当し、左遷させられた刑事・芥川とその妻の会話。
二人でケーキを店内で食べながら「お父さん?私、初めてお父さんの笑顔見ちゃった」「そうか?」「あんまり可愛くなかったわ」の件は、ベテラン夫婦ならではの会話で大笑いさせられました。なんとも味のある会話を繰り広げるこの夫婦、若本さんと沢田さんのベテランコンビならでは!!ですよねぇ・・。
いやぁ・・お勧めのシーンが多くて。本当に困ってしまいました。
BLで扱っては居ますが。ホモだホモだと言っているシーンがあるくらいなので、普通のドラマとして聴いてもOKかな?と思ってしまいます。でも、ミニCDの方が結構ストレートな表現があるので・・・まぁ・・やはりBLですか(゜゜)\バキッ☆。「すごく、すごく、すごーく」の台詞が妙に耳に残っております(^-^)。

西洋骨董洋菓子店 2

よしながふみ 新書館 2003年1月25日 SWCDー006
山寺宏一(橘圭一郎)、郷田ほづみ(小野裕介)
関智一(神田エイジ)、井上和彦(小早川千影)
若本規夫(芥川忠宏)、立木文彦(初老の男)、浅川悠(橘圭一郎(少年時代))
辻谷耕史(本間)、池田勝(宇田川刑事)、緒方文興(吉岡刑事)
佐々木瑶子(橘紘子)、藤波京子(白井富貴子)、小金澤篤子(栄子叔母)
山岸功(勅使河原)、古島清考(本間(少年時代))、田口宏子(勅使河原(少年時代))
津田英三(小谷)、金野恵子(女)、夏樹リオ(村松恵)
むたあきこ(咲子)、佐藤利奈

おまけCDドラマ「好事家の絵本」
田口宏子(ピロコ)、むたあきこ(トミタ)、佐藤利奈(チホ)
橘の祖母と、叔母が「アンティーク」を訪れた。良い子の孫(甥)を演じる橘は、「良い人たちだから、心配をかけるわけにはいかない」とエイジに告げる。
小学生の頃誘拐され、ケーキを食べさせられた想い出しか残っていない事件に遭遇した過去がある橘。犯人の事も、その他の事も覚えていない彼が、アンティークをオープンさせようと思ったのは・・・・
この作品は、私にしては珍しく原作を読んでいます。そして、時々ではありましたがTVドラマになった作品も見ています。
なのに、何故か・・・本当に何故か、自分でも「今更ぁ・・・・」と思ってしまったので、突っ込みは受け付けません(゜゜)\バキッ☆。本当に、今更・・この時点で「あぁ・・」と、いろんな事がストンと落ちてきてしまいました。

橘が、親や親戚達に心配をかけまいとして明るく振る舞っていた。ケーキなんて見るのも嫌なのに、誕生会を開いてもらって明るく過ごす。良い子と言うよりも、出来すぎかも・・と思えるほどの心遣いの出来る橘ならでは・・なのですが。思い出す事も出来ない、誘拐されていた時の出来事。その間に、一体何があったのか?夢に見てうなされるほどの出来事なのに、橘は思い出すことが出来ない。
そんな、橘を慰める?と言うか、見守っていたのが千影。千影の存在は、役立たずでも(エプロンのひもも結べなくて、料理も何一つ出来なくても)支えにはなっていた。
そして、そんな天才児のような橘なのに、こと女性との恋愛には向かない。Hも上手だし、相手の気持ちを考えて、相手の好きな事に合わせる事も出来るし。話し上手だし、料理も上手。おまけに、お金持ちのお坊ちゃんで、頭も良いし、運動も抜群。顔だって、ハンサムの部類に入る。絵に描いたような王子様像だと、最初は皆がそう思うのに。でも、ことごとく相手の女性から断られてしまう。
それは、ひょっとしたら過去の誘拐事件・・・自分が思い出せない事件において、相手から悪戯されたかもしれない・・・。(覚えていないけど、)それがトラウマになっているのではないか?女性から断られるのは、その時の後遺症があったのではないか?と、橘は考えてしまう。
そして、現在。甘い物が駄目な橘が、ケーキショップを経営しているのは。エイジが指摘したように、時効になった事件とは言え。その犯人を突き止めたかったのか?そんな彼らの周辺で、子供の連続誘拐殺人事件が起きる。アンティークのケーキの成分と、被害者の胃袋から検出された物が一致して、刑事が張り込みに来る。

・・・お話の進め方として、凄く構成が上手い!!と思うんですよ。現在の彼らと過去のシーンの挿入。橘を誘拐した男(声は立木さんなので、途中で子供?にケーキを食べさせようとするシーンが入った時には、こいつがまた事件を起こしている犯人か?って思ってしまいますもの。橘が踏み込んで、逮捕に至った犯人はまた別だった時には、鳥肌がたちましたね)の声や、橘の過去の誕生日会のシーン、そして母親がこぼしてしまった言葉。それらを断片的に思い出して、飛び起きて現在に戻るシーン。橘の高校時代のエピソードに、過去の恋愛遍歴の話。それが、また絶妙に織り交ぜられています。
1で、ケーキ好きの退職刑事として出てきた芥川が事件に絡むところや、小野と橘のエピソード。もう、本当に上手すぎるほど上手く練られたお話だと思うんですね。
で、何を今更「あぁ・・」といろんな事がストンと落ちてきたのかって??

最初に聴いた時には、小野くんの告白のタイミングがものすごく悪かったわけね・・と思っていました。高校時代に付き合っていた彼女に、いきなりふられてしまった。その直後に告白してきた小野だったから、その衝撃もあって手ひどく断ったのかな?小野の事をあれこれ言う友人に、橘は「好きで、そう産まれてきたわけじゃないし」といさめるような事も言っているけど、彼自身はその後の恋愛遍歴が物語るように、ごくごくまともなノーマルですし。結婚と言うものに、もの凄く憧れているみたいなんですよね。だから、ホモである小野の告白は受け入れられなかったのかな?と。

でも。別の事件を見事に解決した彼が、今も夢でうなされるように、根底にはずっとあの誘拐事件は存在し続ける。
相手の男を刺してしまって、逃げ出してしまった。殺したかもしれない・・と言う恐怖感と、相手から「忘れろ!」と言われた事がきっかけで、本当に全てを忘れ去った。その空白の期間に、本当に悪戯をされたかどうか(おそらく、されていないと思いますが)は不明にしても。その時のトラウマが、ホモである小野を拒絶する引き金になっていたのかもしれない・・。それが今回、本当にストンと落ちてきてしまったわけです。
あんな事を言って、小野を傷つけるつもりはなかった・・。あんな断り方をするつもりはなかったのに・・。
千影が、まだ店に出て来ることが出来ない状態にある。そして、エイジはフランスに行ってしまい。店を始めた頃のように、たった二人きりになってしまった店内で、小野と橘が語り合うシーンがありますが。
本当に、見事なラストシーンになっていると思います。もし、この2巻で「西洋骨董洋菓子店」が終わっていても、なんら不思議はないくらいに納得してしまいました。

山寺さんの立て板に水!のケーキの説明は、お店に来た男性客ではありませんが「オーナーの説明、聴かなきゃ良かった」になりますね。いや・・お泊まり勤務の時には、耳に毒よぉ・・。お腹がなるし。スナック菓子くらいしか持って行っていないと、こってりとした本格的な生クリームのケーキを無性に食べたくなりますから。

今回は、橘篇と言う事で。エイジ君や小野、千影のシーンはあまり多くはありませんが。おまけCDドラマの「好事家の絵本」の、女子高生?達の会話に対する突っ込みは、なかなか面白かったです。
でも・・本人達が聴いているかもしれないのに。そういうホモ談義をする腐女子って・・・(^^;・・それは、ちょっとどころではなく、かなり嫌です。そんな女性達に、大筋においてOKとか・・言うなよ(大笑)。

西洋骨董洋菓子店 3

よしながふみ 新書館 2003年2月25日 SWCDー007
山寺宏一(橘圭一郎)、郷田ほづみ(小野裕介)
関智一(神田エイジ)、井上和彦(小早川千影)
小杉十郎太(ジャン=バティスト・エヴァン)

折笠富美子(伊藤)、柳沢真由美(漆原)、津田英三(会長)
山岸功(見習い)、仮屋昌伸(リングアナ)、今村卓博(爆統の男)
茂呂田かおる(ゆりな)、むたあきこ(可奈恵)、佐藤利奈(里沙)

初回特典:楓子篇
山寺宏一(橘圭一郎)、郷田ほづみ(小野裕介)、関智一(神田エイジ)
井上和彦(小早川千影)、柳沢真由美(桜子)、折笠富美子(楓子)
「アンティーク」で見習いパティシェをしているエイジは、元プロボクサー。ボクサーになる前は暴走族で、据え膳食わぬは・・の方針で、初体験が小学校などと言うような、とんでもない人生を歩んできた若者だった・・。
その彼が師匠と仰ぐ小野のもとに、フランスでの(小野の)師匠であるジャンがやってきた。
関智一さんは、BLにご出演の作品数は決して多くはありません。むしろ、私が所有している分では。200タイトルを越えて、BLと普通のCDを分けた時「え?」と思うくらい、BLのタイトルが少なかった方のお一人になります。(保志さんも少ないのですが、保志さんの場合は。スキャンダルシリーズなどを私が購入しておりませんし、最遊記の枚数多いですからねぇ(゜゜)\バキッ☆)
あ、話が逸れました。関智一さんは、その少ないBLのご出演作品が、うわぁ・・と思わせる作品が多いために。インパクトが強いんですよね。だから、分けた時に「え?こんなに少なかったっけ?」と言う印象がつきまとうのではないかな?と思います。
子供の領分の、その手のシーンがないのにBLに入っている作品の俺様キャラ!のインパクトも強烈ですが。
この西洋骨董洋菓子店のエイジ君の印象の強さ・・。BLを聞きながら、エイジ役の関さんの子供のような泣きじゃくりのシーンで、久しぶりに泣いてしまいました。

無茶やっていて、その若さで「もう枯れてしまった」なんて言うくらいのエイジ。本当に、世間のつまはじき者だった彼ですが。小野のケーキと出逢って、お菓子を作りたい!パティシェになりたい!として、小野の下で働く彼は本当に一直線な若者です。
彼が引退した時のエピソード(冒頭部分)での、網膜剥離と聴かされてのシーン「そんじゃあ、俺ボクシング辞めねぇと。辞めたくねぇけど・・・辞めんのやだ。俺・・・辞めんのやだよぉ、会長・・・俺からボクシング取ったら、何が残るんだよぉ」のシーンでも、その率直さが出てますよね(^-^)。
そんな彼が、修行をするにしても、習っておくに越したことはない!として、フランス語教室に通わされるようになった時。
勉強は嫌いだと、ぶちぶち文句を言いつつ。小野の指示なので学校には通っている。しかし、片づけも仕込みも、エイジ抜きで店は回っていて。しかも、厨房の仕事に(器用な)橘が小野に教えてもらっている・・・のを見てしまった彼は、どんどん不機嫌になっていき・・。その理由が「先生、先生は俺がいらなくなったから、俺の事、フランスに行かせたいわけじゃないよね?
俺が全然仕事が出来ないから、俺を店から追い出すんじゃないよね。
だって、俺、いらない子供だったから。ボクシングは良かったんだ。勝てば良かった。そしたら、俺は要らない人間なんかじゃないって思えたから。けど、今の仕事そういうの良く分かんねぇんだもん。先生、俺の事も褒めてくれるけど、オヤジの事も褒めちゃうし。店の中の男で、俺だけ先生の好みじゃねぇしさ。俺、俺・・・・もう、俺、もう誰かに捨てられんの嫌だよぉ・・」
親に捨てられ、施設で育った彼のトラウマが、小野にも見捨てられてしまう事への恐怖感を呼び覚ましてしまったんですね。そして、声をあげて、周囲の目も憚らずに彼がうわーん・・・・と泣きじゃくるシーンは、図体だけでかくなったけど。親の愛を欲しがる、小さな子供を思わせてくれました。このシーンは、関智一さん渾身!!の演技ではないでしょうか??
しかし、エイジ君よ・・。「パティシェのチャンプ!!俺、抱かれても良い!」って君は二言目には「抱かれても良い」って言うけど、この作品に関しては冗談になってませんから(大笑)

3は別名「エイジ」篇と名付けられていますが、同時に小野の過去編とも言うことが出来ます。ジャンが小野のアパートに入った時に、映画館の上映ブザーが鳴り、映写機の音がするのが凝ってますよね。
感情の起伏の激しいジャンは、情熱的で大胆で。愛する人のために跪くことも辞さないほどです。パリに行って4人目くらいに付き合った人と言うジャンは、小野にして「わっかんないなぁ・・・。リアクションが読めない」と言わせるくらいです。その読めないリアクションやら行動を見事に再現しているジャン役の小杉さんも、ノリノリでねぇ・・素晴らしいの一言につきます。
橘と同族嫌悪?と言うシーンがありますが。お客様に本日のお奨めを答えるシーンは、まさに橘と一緒!!と思ってしまいます。2巻までの橘の立て板に水の説明と、ジャンが説明するシーンが本当に似ているんですもの!!

笑えるシーンはいろいろありますが、「同時通訳でお送りさせていただきます」と言う解説?のシーンで、ワンテンポ遅れて「いただきます」の井上さんが、妙におかしかったです。
「壊れたプレイヤーのようなギャルソン」である千影の「いらっしゃいませ」の繰り返しも楽しかったです。「何言っているのか、分かんない」とずっと悩んでいて、「外国語だ」と気が付くのが遅いってのもちーちゃんならではですね。
千影のシーンでは、オーダーを取りに行っていて。数カ所から注文が出ると。「はい、ただいま」「かしこまりました」と格好良く言っておきながら、途端に合計の数字が分からなくなって「えーっと・・と言うことは」とまごまごしているシーンに笑いが出ます。
お客さんから「3個だよ、ちーちゃん3個」「急いでいるわけではないから、ゆっくりおやりなさい」と暖かく言ってもらえるのも、千影の個性や人柄のおかげでしょうね(^-^)。確か「恐れ入ります」ってのは、橘に教えてもらった呪文だったよね。その教えてもらったシーンとか、なかったのが残念。
小野では、クロワッサンを全部棚から下げろと言われて、「ウィ、ムッシュ」と答えるセリフは、本当に嫌々だったのに。エリックと寝たのか?と訊かれて「ウィ、ムッシュ」は即答したシーンが笑えます。
エイジを息子のつもりで育ててきた会長さん。甘いの得意じゃないのに、エイジの様子を見に来て食べて帰っていく件は、優しい気持ちになりますね。エイジがいつか一人前になったら、会長さんの所に戻る日が来るのかもしれませんね。
会長さんの、コネがあるんだよ「ラーメン屋とか、ラーメン屋とか、ラーメン屋とか・・・」のシーンもちょっと笑えますよね。エイジから、ケーキの匂いがする!と減量中のボクサー仲間が眠れないと言っていたのに、会長からケーキの匂い・・と言うシーンもクスッと笑ってしまいます。
しかし、橘さん・・・はげで眼帯のおっちゃんに見いだされてボクサーになったか?って、何の話よ(大笑)。あの有名なボクシング漫画ですよねぇ。それを知らない世代も居るでしょうに。
爆統チーム?の仲間だった女性が来て、エイジと旦那さんを比べての「ピー」音鳴りっぱなしで内容分かりません・・・の会話は、大体想像はつくけど(消しているくらいだから)消されていると、逆に凄く気になるんですけど(大笑)。あれ、声優さん達ピー音の所って喋っていませんね。効果音で消しているのじゃないような気がします。最初から、その部分にはピーが入ると分かっていて、その部分の間は喋っていないように思います。「で」「の」「に」で区切られていますけど。

初回特典の楓子篇は、お母さんも一人の人間・・・と言うのが、しみじみとして好きでした。

西洋骨董洋菓子店 4

よしながふみ 新書館 2003年3月25日 SWCDー008
山寺宏一(橘圭一郎)、郷田ほづみ(小野裕介)
関智一(神田エイジ)、井上和彦(小早川千影)
石川静(中津遙)、田口宏子(各務民子)、むたあきこ(小野母)
柳沢真由美(漆原)、岸野一彦(漆原のだんな)、金井昌宏(中井)
今村卓博(ディレクター)、入江健夫(カメラマン)、和泉志摩(アナウンス)

初回特典:永遠はありますか?
山寺宏一(橘圭一郎)、郷田ほづみ(小野裕介)、関智一(神田エイジ)
井上和彦(小早川千影)、今村卓博(小野の元恋人)、むたあきこ(コンスタンス)
ケーキ店が、一年で一番忙しいクリスマス・イブの「アンティーク」のあれこれを描く「クリスマス編」
そして、アンティークがデパートの地下で出店する特別企画の3日間、レポートしてくれた「女子アナ編」
あぁ、これを聴いたら(書いたら)西洋骨董洋菓子店の感想が終わってしまうぅ!!と言うのが、今回の一番の感想です。
シリーズ物の感想を書く時、お気に入りのアニメや小説など、ストーリーがある物が終わりになる時と言うのは、終わりがあると言う事に一抹の寂しさがよぎってしまうのです。
それをそのままタイトルにしてくれたのが、ミヒャエル・エンデの「ネバーエンディング・ストーリー」ですよね・・。

終わりがあるから、お話は面白いのかもしれません。
延々と、同じ生活やお話が続く。それはそれなりの安定感があり、ホッとした気持ちを与えてくれます。
例えば、サザエさんやちびまる子ちゃんなどは、成長しない主人公一家や周囲。その空間は、確かに安定感と落ち着きと「いつものあの場所に戻ってきた」と言う安心感を与えてくれます。
でも、サザエさんやちびまる子ちゃんではドラマとして、聴きたい・読みたい!と言う欲求は起きない。いつもの時間に、いつものように見る作品としては、悪くはないけれど。

とても、ワガママな欲求でしょうが。ドラマとして聴く・読むと言う作品には、次から次へと事件や変化が起こり。日常とは違う次元での波が起こってくれないと嫌。でも、お話として終わってしまうのは淋しい。
始まりがあれば、終わる時が来る。それは、とても当たり前の事なのですが。でも、どこかに「このままで、止まっていて欲しい」と思ってしまう自分が居ます。
昔むかしの物語は、最後が「幸せに暮らしましたとさ」で終わるものがあります。そういう訳がないじゃん!登場人物だって不死ではないのだから、いろんな事があるに違いない!と思いつつ、ハッピーエンドに終わった物語は、そのまま幸せなままの世界を保っていて欲しい。

矛盾しているのは、百も承知です。
西洋骨董洋菓子店で言うならば、小野がケーキを焼き。エイジが自分なりのケーキを開発し。何も出来ないちーちゃんが居て。橘は、ケーキは甘い物と言う認識しかないくせに、売る時には立て板に水の説明をしていて欲しい。きっと、東京のとある(あまり車の通りが多くない)小洒落た住宅街の一角にあるお店で、彼らは4人仲良くケーキ店を営んでいて欲しい・・・。そう思ってしまうのです。

2巻で、終わり方が「これを最後の巻に持ってきていたら、良かったのにね」と思うくらいのシーンがありました。しかし、この4巻ではこれまでの巻に入りきらなかったエピソードを詰め込んでいまして。
本編の方を聴いた時には、2と4を逆にしていても良かったのじゃない?とすら思ったのですが。特典CDを聴いたら、そんな気持ちは吹っ飛びましたね。

母親の影を拭いきれず、女性が苦手な小野。でも、彼はまるで女性と会話が出来ないわけではなく。今回の女子アナとは会話も出来ていますし。
ちーちゃんは、若!が居なくても。サングラスをかけなくても。それなりにちゃんと接客が少しは出来るようになりましたし。
宅配サービスや、フランスの洋菓子店のように総菜などを扱う店にもなるかもしれない・・・と、そういう展開もありうるだろう事を示唆してくれた橘。
先生が居なくても、彼が教えてくれなくても。お店のケーキをきちんと一人で作る事を成し遂げたエイジ。
4人は昨日と同じようでいて、同じではない。
しかし、小野の中には。いつかは無くなってしまう物だったら、自分の手でぶち壊して去りたい!と言う欲求が渦巻いている。そんな小野を抱き留めて、「俺とお前は恋人にはならないから、だから終わりにはならない」と断言してくれる橘。
一方の橘も、まだ誘拐事件の後遺症は残っていて。彼を抱きしめた小野が「明日も、ケーキを売ろう」・・・。

終わりはあるだろうけれど。とりあえずの終わりはない。少しずつ、進歩したり変わっていく彼らは居るだろうけれど。明日も、そこの角を曲がった所にケーキ店はあるだろう・・・。そういう終わり方を示してくれました。

エイジの関智一さんは、今回はあまり登場シーンは多くはなかったのですが。デパ地下に行ってしまった先生に訊きに行かずに、ケーキを仕上げるシーンが、クリスマス編でケーキの失敗を教えて欲しい!と言ったエイジくんとの差を見せてくれました。
山ごもりして、ケーキを一杯焼く!!と言う特訓の予想シーンに笑ってしまいました。

ちーちゃんの井上さんは、情けないのに良い男が素敵でした。コーヒーはじっくり煎れるから美味しいものが出来てくれるんでしょうね(^-^)。今回は、デパ地下に行っての千影の成長ぶりが素晴らしかったです(^-^)。
内心では、「わ、わかっ!!」と動揺しているのに。言葉を思い出して「食べていただければ、分かります」「申し訳ございません。少々、お待ち下さい」だけを繰り返すシーンでの良い男っぷりが、最高でした。

橘役の山寺さんは、なんでも出来て格好いいのに。お客の漆原さんに挑戦されて、燃える!!シーンがらしくてねぇ!!番外の小野とのシーンで、あぁ!!でした。もっと聴きたい(゜゜)\バキッ☆。と言うか、山寺さんで受けとか良いよねぇ・・・と、妄想が出てしまって困りました。

小野の郷田さんは、まぁ!!!繊細で麗しの小野さんにぴったりで。マジックよねぇ・・。どうもね、ボトムズのキリコのイメージ(どういう古いアニメを持ち出してくるんだか・・分からないお若い方は飛ばして、読んで下さいね(大笑))があったのですが。舞台だけでなく、ドラマCDでももっともっとお声を聴きたい!!と思ってしまいました。
女子アナに、片方だけのピアス(イヤリング?)を返すシーンが印象的でした。

その女子アナさんの二人組。良いコンビでしたね。女子アナ編では、女性が社会で働く事などについてもちょっと考えておりました。
もわーんとしたしゃべり方をするのに、意外に(大笑)鋭い後輩さんと、これぞまさに立て板に水!でモノローグで喋りまくりの先輩・・・。本当に、良いコンビでした。二人が、ケーキを食べてじたばたするシーンは、漫画のあのシーンを思い出してしまいましたねぇ。。
いや、本当に凄く面白い物とか、美味しい物の時ってジタバタとしてしまいますよね(大笑)。
この二人の本音トークをいつもいつも聴かされて、女性不信になっていそうなカメラマン君が本当にお気の毒でした(^^;。

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